図解!草枕ツーリング

www.geocities.co.jp


見てほしい人 ■ 面倒くさがりな方 ■ キャンプに飽きた方
荷物を小さくしたい方 ■ イモムシになってみたかった方


ひとつ前へ戻る

■草枕ツーリングとは何者!?

ハイ、「草枕」と聞いて夏目漱石を思い浮かべた人。ご立派です。でも、惜しい。ハズレ。ヒントは、上の写真のような宿泊方法を指します。草枕というのは辞書を引けば分りますが、その名の通り「草を枕にして寝ること」。。。。という訳で草枕というのは、自然と共にある非常に風流な宿泊方法というわけなんですね。(などと格調高く書いてみたんですが、まあ、平たくいえば野宿といいますかナントいいますか。。。)

草枕というのは、キャンプというのともちょっと違います。テントを張ったりバーベキューをしたりしないからです(偏見か?)。基本的には一人で、ただ気に入った所でシュラフ(寝袋)を広げて寝るだけ。星空は見られる、宿代はタダ、荷物が小さくできる。。。などなど、いいことがたくさんあります。

そんな事して動物や悪い人に襲われたらどーするんだ!!とよく言われますが、それも場所と状況によりけり。ちびっこは日本国内であれば、草枕は非常に安全かつ得るものの多い宿泊方法だと考えています。だって、よく考えてみて下さい。バイクの隣でシュラフ(寝袋)にくるまって寝てる怪しい物体に近づいてみたいと考える奇特な人がいるでしょうか。ガソリンと鉄の匂いのするバイクに近づこうとするイノシシがいるでしょうか。もちろん、あんまりケモノ道のど真ん中とか、治安のよくない街とかは×ですが、日本には、そうでない安全な場所の方が遥かに多いのです。(北海道はヒグマ、沖縄はハブが出るから絶対ダメですが!)

■公開!草枕の実態!

これはちびっこの草枕中の写真です(上の写真を反対側から見た所)。ちびっこは2つの理由があって、ツーリング中は殆どこうして寝ています。
(1)民宿やユースに泊まるお金を節約したい。
(2)体が小さいので、バイクにテントなどかさばる荷物を積むことができない。

最初はそういうトホホな制約から始めた草枕でしたが、始めてみるとこれが随分メリットがある事に気づきました。
●まず、テントを張ったり畳んだりする手間がない。ペグ打ちの必要がないのでキャンプ場である必要もなく、どこでも出来る。フットワークが軽い。
●すぐに外の様子が見られるので、満点の星空や、早朝の朝焼けなど、テントからでは見えない景色が見られる。
●そこそこの孤独には耐えられるようになる。自分と向き合う時間が出来る。私は随分と淋しがり屋だったので、この効果は非常に有り難いことでした。

もちろん、不便な事もいっぱいあります。例えば。。。
◆トイレはどうするの?
ちびっこの場合、予め、途中のコンビニとか温泉とかで用を足してしまいますのでそんなに困りません。そういうものが近くになくて、どうしても我慢できない場合は、人目につかない茂みの中とかで。。。。(^^;)あんまりないですけどね。
◆お風呂はどうするの?
ツーリングといえば温泉ですので、迷わず付近の名湯には入っておきます。乳白色の硫黄鉱泉が大好きなんです。だから、草枕でもお肌はツルツル!? もちろん、贅沢いえる身分ではないので、付近に温泉がなければ我慢します。
◆雨が降ったらどうするの?
雨対策はいろいろ工夫してみました。今のところ右の写真のように、ツェルトフライという風呂敷きのようなものを、バイクから地面に張るのが一番効果が高いです。これと、ゴアテックスのシュラフカバーのダブル攻撃でかなりの雨風(台風を除く)はしのげます。シュラフに夜露がおりるのも防ぐ効果があり、大事なシュラフを濡らさずに済むのです。

■ツーリング荷物の最小化!

釣竿とか椅子とかはたまた中華ナベとか、沢山荷物を積んで盛大にキャンプするのは、ちびっこにとって憧れです。けれど私に限って言うと、そんなに積んだら自分の体重(約35kg)とバイクのバランスが崩れてしまい、安全走行が出来ないことに気づき、泣く泣く荷物を切りつめる方向に。。。しかし、結果的には原付にも積める程度のコンパクトな荷造りが可能になり、今では重宝しています。

ですのでよく「ツーリング荷物を小さくする方法は?」という質問を受けます。答えは簡単で、最低限必要な物しか持っていかない、ひとつひとつのアイテムにはコンパクトな物を選ぶ、の2つを心がけるだけです。ちびっこが絶対にツーリングに持っていくアイテムは以下の通り:

◆ツェルトフライ — 雨が降った時に、バイクから被せて屋根にする奴です。めったに使いませんが、あるだけで草枕の安心感が違います!(ICIスポーツ製・値段忘れたけど1万はしない)
◆ゴアテックスのシュラフカバー — 最初、シュラフカバーなしで過ごしていたら、羽毛シュラフが毎朝、露で濡れて参りました。値は張りますが、ムレない、濡れない、ゴアテックス製が断然お勧めです。写真は、冬用のデカイ、丈夫な奴。最近は、モンベルからゴアの2層構造の超コンパクトなものも出ています(扱いはデリケートですが)。そっちは手のひらサイズなので、最近そっちを愛用しています。値段はどちらも1万円前後。
◆羽毛シュラフ — 好みにも選りますが、化繊シュラフに比べて羽毛シュラフの方が断然コンパクトなのと、保温性が高いので、愛用しています。この程度の大きさでも、袋から出すとぶわっと膨らんで、最低0度までの寒さに耐えられるのですから非常に重宝です。羽毛では常識ですが家で保管する時は必ず袋から出しましょう。写真はMountain Equipmentの Marathon300という一番安くて一番コンパクトなモデルです。価格は25000円ですが、もう6年も使ってる事を考えれば安いものです。
◆エアマット — 普通のウレタンマットでも用は足りるのですが、収納時のコンパクト性から、エアマットを愛用しています。エアマットが雪山での使用に耐えられるほど保温性があるのはご存知でしたか? これのお陰で、真冬でも風邪をひいたことはありません。写真は、THERM A REST 製の ULTRALITE という超コンパクトなモデルです。値段は一万以下です。
◆工具類 — 車載工具だけでは心細いので、ラチェットとソケット一式を必ず携行しています。ロングツーリングになると、タイヤレバーとパンク修理セット、左右レバーなんかが加わります。(幸いにして、使う羽目になったことはほとんどありませんが)
◆雨ガッパ — ゴアテックス製なので、値段は張りますが(上下で約3万円。キエー)手放せません。昔、ビニロン製の雨具だった頃は、雨を全部吸い込んで、しかも外に逃さないという素晴らしく快適なシロモノだった為、とっとと捨てました。ただ雨具に関しては、安いものを使い捨てで使うという手もあり、一概に言えません。雨でなくても、いざという時の防寒具になります。なお、一部のツワモノライダーではゴミ袋製の「ゴミテックス」、ガムテープ製の「ガムテックス」などが愛用されています。
◆スパッツ — スパッツと聞いて何のこっちゃ?と思った方、これは登山家達が、足元をドロドロから守るための底のない靴下みたいなものです。豪雨の日や水溜まりなど、雨ガッパで防ぎきれない足元への水の浸入に対して、では絶大な効果があるんですよ!1000〜4000円程度なのでお勧めです。


▲SLのGIVI箱に収納するとこんな感じ。

。。。。とまあ、けっこう高価なものが多いので驚かれた方もいるかも知れませんが、ちびっこだって最初からこうだったわけではなく、安いものからスタートして、いろいろ教訓を経て、現在に落ち着いたわけです。ことアウトドアに関しては、コンパクトなものの方が値段が高い!というのは悩みどころですが、良いものは長く使えますので、長い目で見れば安いと思います。ところで賀曽利さんのようなベテランになると、寝る道具はちびっこのさらに半分にまで切りつめています。恐るべし!!

■それでもやっぱり草枕

ここまで読んで、「ちびっこはマゾか!!」と思われた方に少し言い訳をさせてもらいますと、私は決して快適なものを拒んでいるわけではないです(^^;)。なるべく屋根のある所を選びますし、1000円以下のライダーハウスがあれば、迷わずそこへ泊まります。リッチな時はペンションだって泊まります。極論を言うと、上記の装備は「どんな場所で寝る羽目になっても大丈夫」という安心感のためのものでもあるのです。

さて、イイコトばっかり書いていては訴えられてしまいますので、イマイチな話も書きましょう。まずは安全性についてです。 確かにキャンプ場で女性ライダーがさかりのついた男性ライダーに襲われたという話は毎年聞きます。とても悲しいことです。ちびっこは幸いにして、今まで出会った人は本当にイイ人ばかりでコワイ目に遭ったことはありません。しかし、まれにお酒で理性をなくす人がいないと言えば嘘になるかな?夜中にヤンキーに遭遇した事もありますし(^^;)。そんな時には、必要以上に怖がらない事が肝心だと思っています。大声を出すのは相手を逆上させるだけなので最後の手段。かといって腕力では勝てないので、自分が冷静になって、理性的に話をするのが一番だと思っています。(片方が冷静だと、相手もつられて冷静になるみたい)。さっきまで友達と思っていた人ならなおさらですよね。人類みなイイ人です。そう思って生きて行くのが一番シアワセかも!

実は草枕の原点に帰れば、そういったトラブルを回避することはけっこう簡単だったりします。草枕はバイクの隣で一人で寝るものなので、基本的にキャンプ場ではやらないからです。(逆にキャンプ場などで草枕ラーしていると珍しがられて、たくさんの人が寄ってきます。アラ不思議?) 草枕をするなら、一晩中誰も来ないような場所の方がポイント高いです。山奥の林道の脇のちょっとしたスペース、付近に住宅地のない公園、夜間の交通量がほぼゼロになるような場所など、是非ご自分で素晴らしい草枕ポイントを探してみてください。訪れる人の少ない場所は、意外と雄大な自然が広がっていたりするものです(山奥では動物に注意してね)。そうして見つけた草枕ポイントを地図にどんどん書き込んでいけば、日本中に「自分だけの秘密の宿」が出来ます。

ここでひとつジレンマが。ちびっこもみんなに教えたい草枕ポイントをいろいろ知っていますが、敢えて公開しないことにしています。特定の場所が公に知れ渡ってしまうと、どうしてもマナーが低下し(悪気はなくても)、結局地元の方に迷惑をかけてしまう恐れがあるからです。ですから、皆さんも「本当に大事にしたい場所」を見つけたら、そっと秘密にしておいて下さい。

あと強いて何かイマイチな点があるとすれば、「寂しさ」でしょうか。でもこれは結構簡単にクリアできる項目だと思います。誰もいない場所で一晩過ごすにあたり、最初の頃は孤独感に襲われて辛いかも知れませんが、3日も続ければ何時の間にか適応してしまうようです。もう、どんな所でも大丈夫だよ〜ん!という具合に。この適応性に男女差は見受けられません。それは心のゆとりというやつで、バイク乗りにとって大事な要素ではないかと思っています。(ドラクエなんかで経験値が上がるとレベルが上がって、もっと強くなるのと似ているかも)。どこでも寝られるわけですから、毎日の宿を決める必要もないし、疲れたらすぐに休憩を取れるので、心だけでなく走りにもゆとりが生まれます。一見イマイチな事も、長い目で見ればイイコトという訳ですね。

草枕のデメリットを論じるよりも、メリットについて論じるほうが遥かに多くの事を語れます。論より証拠、あなたも次回のツーリングから、テントを一回お休みして、草枕にトライしてみてはいかが!? (^_^)



ひとつ前へ戻る