おはな日記(23) by Ryu

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Written;2003/09/14 Ryu---Botswana---

●Botswana <雑感>
《S.A Border~Francistown》
◇ここに来て、不思議な縁でホームステイをすることになった。お世話になったジョンは、ボクと同じ「バツイチ」で4歳年上。前の奥さんとの間に出来た3人の子供と、いまのトレーシーとの間に出来た2人の子供の合計5人の子供たちのお父さん。子供のいないボクにとっては羨ましい限りで、「このクソガキがっ!」と庭にあるプールに放り込んでやろうかと思ったことも度々あったが、いくらこっちが怒っていても、そ知らぬ顔で「ルー、ルー」と寄ってくる。仕方がないのでこっちも機嫌を直して、また遊んでやる。と、そんな毎日を繰り返していた。

◇どこに観光に行くことなく、毎日をその家で過ごしていた。長い旅になってきたので、ここらあたりで一度まとめてみるかと、西アフリカの旅の日記をみながら、使った金を記録した帳面の数字をコンピューターに入力したりしていると、つい最近のことなのに、もう思い出になってしまっていることに気が付く。「いい思い出が出来たもんだ」と思う反面、なんとなく、空しいのか、寂しいのか、よくわからない妙な気持ちが訪れたりする。

◇それが「欲」といのか。ボクは、色んなことに幸せを見出そうとする。小学生の頃なら、おやつを腹いっぱいに食いたいとか、色気が出てきた中学・高校なら、良い服を着てお洒落して女の子とデートしたいとか、働きはじめてサラリーマンになると、結婚して出世して偉くなって家を買って、車を買って、そして子供が出来たら、「ああしてやろう」、「こうしてやろう」と夢をみて、それが叶えば「ああっ、幸せだ」と満足する自分を夢見て楽しんだりする。離婚して、2度目の結婚をして、サラリーマンをやめて、「アフリカでも旅行してみるか」と走り出せば、「あれも、見たい。これも、見たい」とサラリーマン時代に夢見た夢とは異なる夢で楽しんだりする。まったく、欲張りな人生だと、つくづく思い、よく勘当もされずにそれを許してくれる親がいるなと感謝したりする。

◇「もう、これで帰るかなぁ」。ふと、そんな思いがかすめる時があった。するとすぐに「今帰るときっと後悔するな」と思い直す。《まったく、どっちやねん》と女々しい自分に怒鳴りつけると、《やっぱり続けることにしたわぁ》と帰ってきた。9月、旅を再開する。

《Francistown~Kasane》
◇「Francistown」からチョベ国立公園のある「Kasane」までの道ではたくさんの動物を見ことができる。ダチョウ、ゾウ、キリン、道端で車にひかれたチーターの死骸。どれも、正真正銘の野生だから、堂々としている方は彼らで、ボク達は「すいませんが、ここをちょっくら、通らせておくんなせい」と控えめになっしまう。

◇チョベ国立公園でせっかくだからと「ボートクルーズ」に参加した。実は、このあたりの公園にあるホテルはどこも高級で、観光に来ている人たちも、身なりの良い白髪が混ざった紳士淑女が、いちばん目立ちどこか高級。この手のツアーにしても、安くはないので「やめよう、やめよう」という彼女の意見を却下して参加することにした。定員20名ほどの2階建てボートは3時間かけて、ゆっくりと川を行って戻る。ゾウ、インパラ、カバ、ワニ、たくさんの鳥たち。目の前に動物が現れるたびに、「満足度は何パーセント?」と彼女がボクに聞いてくるが、道端でゴロゴロしてた動物ばかりなので、いまひとつ感動がなく50パーセントも超えない。そのうち、欠伸がでるほど時間が経つのが遅く感じてきて、やっと船が戻りだしたときのこと。川岸の草原から、遠くに続くサバンナのずっと奥に日が傾いて、ゾウにキリンやワニにカバ、草木や土に川面までが、アフリカらしい夕焼け色に染まりだし、「これで、どうだ」とボートが「クルッ」と夕日に向いた。ボクは「ふっ」とため息ついて満足度、90パーセントをくれてやる。

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