おはな日記(5) by Ryu

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Written;2002/12/24 Ryu---Morocco No.1---

●Morocco <雑感>
◇グラナデでひいた風邪が長引いて、テントの中で3日ほど動けない状態が続き、どこにも行けずに、ただひたすら良くなるのを待った。だから、結局モロッコに入国出来たのは12月9日で、だだでさえ遅れ気味の旅が、ますます遅れてしまった。

◇スペインのアルヘシラスという港から、タンジェ港までの3時間、ボクはフェリーのなかで、いよいよ始まるアフリカの旅にひとりドキドキしていた。それは、「胸、踊る」なのか、それとも、「胸騒ぎ」なのか、よくわかなないままに、とにかく、ドキドキ、ソワソワしていた。

◇タンジェに着くと、ボク達はただひたすら南下した。カサブランカでモロッコ人の友人を待たせているからだ。それでも、その途中、急ぐとやはり邪魔が入るもので、ふと、よそ見をすると、草原の緑と道端に咲く花までは良かったが、丘の上ので機嫌良く、草を食べてる羊の毛に西日があたって、キラキラひかるのを見てしまうと、ついついアクセルが緩み、その景色に見とれてしまう。この季節Moroccoは、なんでもない道端が憎らしいほど美しい。

●Hassan
正直、ボクは涙もろい。

どれだけ、そうかと言うと「フランダースの犬」のネロとパトラッシュの最終回のあのシーンや、「アルプスの少女ハイジ」では、クララが再び歩いたあのシーンなんかで、ガキの頃、テレビの前でじわりと泣いた。だから、いまでも、突然テレビで「懐かしのあのシーン」が流れると実はじわりときたりする。

カサブランカに着いた翌日、モロッコ人の友人Radouaneが、ボク達にHassanを紹介してくれた。ビジネスパートナーであり、友人でもある彼が話せる言葉は、アラビア語と少しのフランス語と、それよりも、もっとすこしの英語。丸い体に大きな声と冗談が大好きな明るい性格。その彼が、1週間、ボク達のアラビア語の先生をしてくれた。

仕事を終えて疲れてる筈なのに、遠く離れた仕事場から、ボク達が世話になっているRadouaneの家まで、毎日来てくれて、「こんにちわ」から始まって、「立って、座って、机、椅子、りんご、ミカン、あれは、これは、どこ?」なんていう言葉を大きな声で、冗談を言いながら、ワッハハッと大声で笑いながら教えてくれる。


今夜で最後というお別れの日、この日も、タジン(モロッコの代表的な料理)を食べながら、Hassanのアラビア語講座が始まって、そして、夜遅くまで続いた。12時が過ぎた頃、もうそろそろ帰ろうかと時計を見たその後、Hassanの声が急に小さくなって、いつもの元気な声じゃなく、背中を丸くしながら、寂しそうに別れの言葉を言いはじめた。大きなHassanが小さくなって、色んな言葉をボク達にかけてくれる。そのひとつひとつの言葉の意味はわからないけど、そのうち気持ちが伝わってきて、最後の最後、「アッサラーム アレイクム」と握手と頬へのキスを交わす時、目にきた涙を堪えながら、また、じわりときたりした。

●Merry X'mas in Marrakech
Moroccoでボクが一番気になっていた街Marrakech。昨日、その町のフナ広場にとうとう着いた。

本で読んだように、写真で見たように、あのフナ広場の景色が、いまは自分のこの目に写すことができる。広場には、踊り、歌う大道芸人達や、怪しげなヘビ使い。日本語はもちろん英語も話せないのにタロットでボク達を占おうとするおばちゃん。そして、さらに日が落ち出すと屋台がこの広場を所狭しと埋め尽くす。


屋台で焼かれるケバブやソーセージ、モロッコ料理の代表作のハリラにタジン、その匂いにまざって、道ゆく人が巻き上げる埃と屋台照明の発電機が出す排気ガスやら、とにかく、なにもかもが、全部まざって、この広場全体の匂いになり、ボクの臭覚を襲う。

そして、その匂いに少しクラクラしながらも、クリスマス・イブの明日こそは、少し、ましなものを食うかと、ボクは、注文したケバブを口の中に放り込んだ。

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