おはな日記(10) by Ryu

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Written;2003/03/05 Ryu---Senegal---

●Senegal <雑感>
《St.Louis~Dakar》
◇魚が釣れまくったSt.Louisに後ろ髪を引かれまくりながら、この国の首都Dakarに向かう。通り過ぎてきたサバンナと藁で葺いた屋根の家々の景色とは対照的に、高層ビルが建ち並び人や車や何もかもが、この街で忙しくうごめいている。まるで東京にいるみたいな錯覚に陥るほどで、(なにもここまで来て・・・)と、うんざりする。

ダカールの町並み

◇飽きっぽい子供が、箱いっぱいに入ったおもちゃ箱を<エイ、ヤ->と、ひっくり返したような街で、どこに何があるか探すのに一苦労するが、それでも、ス-パ-マ-ケットはあるし、アイスクリ-ム屋もあるし、ネットカフェも、おしゃれな服を置いたブティックでさえある。探せば無い物は無いんじゃないかと思うほど。それでも、やはりアフリカなのは、こんなに物が溢れる街なのに、道端で寝起きしている子供たちが、次から次へと手をだして、小銭をせがみに来ることと、なにをするにも時間が掛かりすぎること。

◇これまで、通過してきた国々では物価の高かったスペインを除いて、ボク達の食事は、ほとんど現地のレストランや屋台なんかですませてきた。モロッコでは、「タジン」と呼ばれる鍋でつくる野菜と羊肉の煮物。モーリタニアでは極細パスタとブイヨンと玉ねぎで作ったソースをからめた「バーミセイユ」。そしてブラック・アフリカ、セネガルに入ると、「ここの人は舌が肥えてるね~」と思えるくらい何を食っても美味しくて、その中でもお気に入りは、「ヤッサ・プレ」。ごはんを盛った皿の上に、焼いた鳥の足がそのど真ん中にドンッとのって、さらに、ブイヨンと玉ねぎで作られた、なんとなく甘くて、酸っぱくて、濃厚で、まったりとしたソースがかかっている。こいつを、ごはんといっしょに口に頬張ると〈アフリカは、美味しいなぁ〉と幸せな気分になって、ついで鳥の足にかぶりつくと〈万歳!アフリカ、これがたったの200円〉と、つい叫んでしまいそうになる。

ヤッサ プレ

◇ケンちゃん、ユ-コさん達とようやく合流する。2年ぶりか、3年ぶりか、とにかく長い間会っていなかったので、ここで逢えてとんでもなく嬉しい。二人が次にガンビアに向かうと聞いてその国は、どこかと地図でみると、セネガルの真ん中に流れる大きな川の河口にある小国だと知る。大きな川、河口、とくると、ボクの頭の中でその次に浮かぶ言葉は、<お魚いっぱい→大漁→釣りがしたい>となる。そして、ガンビア行きが決定した。

●釣り師に言葉はいらない
やっと魚が釣れた。それも芋で釣れた。

ボクの釣り好きは今に始まったことじゃなく、まだ小学校にあがるか、あがらないかかの頃からだから、もうかれこれ30年は経っているということになる。だから、当然、今回の旅行にも釣り道具は欠かせなかったわけで、ブラックバス用の4本継ぎパックロッドにベイトリ-ル。ルア-と、針にハリスに錘を少々。何が無くてもそれだけは、バックの中に詰め込んできた。

「セネガルまで来てやっと釣れたね」。

サンルイのチヌ
<まで来て、やっと>とは何たる言い草かと、ほんの少し思ったが、それでもその日は、この旅始まって以来、初の大漁(黒鯛に似た魚が6尾)だから、気分がいい。釣れた場所は、キャンプ場から歩いて5分ほどの所にあるヨットを停泊させるための突堤で、見るからに〈ここは魚がたくさんいますよ〉という感じの場所。

しかし、実は、St.Louisに着いて翌朝、また、その翌朝と、ボクはいつものボ-ズが続いていた。手持ちのルア-を一通り試して疲れ、もう帰ろうかとしたときに、棒切れにごつい糸をぐるぐる巻いて、その先に針と錘の仕掛けをつけたおじさんがやってきた。

突堤の真ん中にあるマンホ-ルの蓋を開けて、ドカッと座り込み、ふかした芋を針に付け、ドボッと落として5~6分、黒鯛に似た魚が1尾釣れた。そしてその後1~2分、また釣れた。続けてドンドン釣れるから、あまりの忙しさに見かね魚に掛かった針を外して、ドンゴロスの袋に入れる作業をボクが引き受けることにした。ただし、これにはマンホ-ルおじさんのル-ルがあって、自分が見てあまりに小さなやつには、〈大ききなってまた来い〉と優しく逃がしてやる必要があった。だから、ボクは針から魚を外す前におじさんに〈どう?〉と毎回聞いていた。もちろん、日本語で。

1時間だか、2時間経って、魚の食いがやんだところで、やっと自己紹介をして、魚を釣りたいがこの2日間全然釣れなくて困ったもんだと、日本語をベ-スにフランス語と英語を時折混ぜこぜにして話すと、それなら、こうしろと、釣り講座がはじまった。潮は下げている途中がよくて、ちなみに太陽の位置はこの辺がいちばんで、餌にする芋のボイルは、硬すぎず、柔らか過ぎず適当で、釣れる棚は底から少しきったところで、どうのこうの・・・。今度は、マンホ-ルおじさんが、現地のウォルフ語をベ-スにフランス語と英語を時折混ぜこぜにして話しだした。

しかし、それでも、ちゃんと会話になっているのは、翌日のボクの釣果が物語っている。

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