宗一郎日記(14) by Naoko

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2003/06/16 Ghana(6) -- Cape Coast
capecoast 南ア行きの航空券を予約した後、出発まで何日かあったので、気になっていたガーナ沿岸部のCape Coast(ケープコースト)という街を訪れてみました。ここにはケープコースト城塞と呼ばれる世界遺産があります。その昔、多くのアフリカ人奴隷がこの城塞からアメリカ等へ向けて運ばれていったという暗い歴史のある場所です。

青い空、青い海、真っ白なケープコースト城塞。。。。近くのビーチでは地元の子供たちが遊んでおり、とても絵になる風景です。ここがかつて陰惨な奴隷貿易の舞台であったとは信じがたい雰囲気ですが、いちど中に入って、地下の真っ暗な牢屋(しかも迷宮)に入った時、すべての印象が覆される思いでした。一条の明かりすら差し込まない地下牢では、歩く事すらやっとです。ここに何百人も押し込まれていたというのだから、大変なこと。こんな非人道的な扱いを受け、一体どれだけの数のアフリカの人々が無念人生を強いられたのでしょう。外の陽気な風景と、内の陰鬱な歴史のコントラストのあまりの差に、めまいがする思いです。

その日の晩、城塞の隣の食堂で不思議な出会いがありました。どこからどう見ても「アメリカ人」の若く愛らしい女性が、なんと流暢な日本語で話し掛けてくるではありませんか。実は彼女、ご両親はアメリカ人ながら、生まれも育ちも日本だったのです。現在はアメリカの大学に在籍中で現在ガーナに数ヶ月の留学中なのでした。その名も、リラさん。

lila-chan 「私は、黒人であり白人であり、日本人でありながらアメリカ人でもあります。でもここケープコーストに来て、自分の黒人の血を強く感じ、涙が出ました。私の祖先は誰なのか、今となっては分かりませんが、きっとこのアフリカの地で、想像できないほど辛い思いをしたに違いありません。。。。」
彼女の言葉に、今しがた城塞で見た光景が重なります。まだ20歳だというリラさんはまさに、人種や国籍を超えた立場から世界を見つめようとしているのでした。「将来は世界平和に尽くしたい」と豊富をかたるリラさん。その言葉に惚れた私たちは、それから3日間、毎日彼女と一緒に楽しい時を過ごしたのでした。彼女との出会いに、Cape Coastは忘れられない土地となりました。

2003/06/16 Ghana(7) -- Air Cargo
再びAccra(首都アクラ)に戻った私たちには大仕事が待っていました。そう、バイクを南アまでエアカーゴを使って空輸しなければなりません。ガーナではエンジン類を空輸するには航空会社単位でライセンスが必要とのことで、エアカーゴを扱う会社なら何でも良いという訳にはいきません。(例;ルフトハンザ航空はライセンスがないので断られました)結局、南アまで最も効率よくバイクを空輸して貰えるのは、South African Airways(南ア航空)という事が分かりました。何しろ、自分たちのフライトと同じ便にバイクを乗せてくれるというのですから願ってもありません。

motorcycle in cardboard さて、南ア航空のUncle Joeというエアカーゴ担当のマネージャが、いろいろ面倒を見てくれるのですが、これがまた日本だったら免職モン(?)のタヌキ叔父さんでした。今まで何度も私たちのような客が来たらしく、バイク輸送も手慣れたもの。1キロあたりの空輸費は約3ドルで、日本では考えられない安さです。しかし!それ以外が全部ボッタクリ価格でした。例えば。。。本来は無料のはずの通関手続き(ガーナで空輸する場合はカルネだけではダメで、特別な書類が必要なのです)、バイク梱包に必要な作業代(といっても、段ボール紙でぐるぐる巻きにしただけ)などなど。さらに!結局バイク2台の合計の重さ(荷物つき)は約200キロで、輸送費は600ドル超ということになったのですが、ここまで計算できた所で、Uncle Joeが急に怪しく声をひそめます。

「どうだね。。。キロあたりの空輸費3ドルのところを、特別に1.8ドルにしてあげようじゃないか。200ドル以上安くなるよ。」「えっ、ご冗談でしょう。キロ3ドルは南ア航空で定められた正規の値段じゃないですか」「気にしなくていいんだよ。私の裁量でどうにでもなるからね。ただね、作業員に50ドルのボーナスを出してあげたいんだけどね。。。」なるほど、そういうことか!なんて悪い奴なんだ!もし日本の会社でそんな事がバレたら即効クビだぞ!と思いつつ、結局値段に負けて、その話に乗ってしまう我々だったのでした。。。。(もちろん、作業員がボーナスを手にすることはないでしょう)

Uncle Joe ところで、空輸するより、コンテナ船でバイクを送った方が安いんじゃないの?と思われるかも知れませんが、実際に船会社に聞いてみたところ、最も安全な方法は「貸し切りコンテナ」しかなく、それだと空輸と同じかそれ以上の費用がかかることが分かりました。しかも、南アのケープタウンに届くまでに一週間以上かかります。もちろん、他の人々と一個のコンテナをシェアすればかなり安くあげられるのですが、まずシェアする人々が集まるまで待たねばならず、またその場合、受けとり時に複数の人々がコンテナを開ける権利が発生するため、盗難に遭いやすいとのこと(実際、バイクを船便で送り、備品などが盗難に遭ったというケースはよく聞きます)。結局、原付2台の為に巨大な20fコンテナ一個借り切るのも馬鹿馬鹿しいので、却下となったのでした。

さて、バイクは我々と一緒に無事に南アに届くでしょうか?

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